撮影テクニック

家族スナップ写真テクニック その3:複数の視点で撮ろう

・家族の思い出を残したいのになんだかいい写真が撮れない。
・大切な思い出をもっと魅力的に残したい。
・もっと家族で見返したときに楽しめる写真を撮りたい。

こんな悩みをもつパパやママさん向けの撮影テクニックの話です。今回は2回目!(第1回「広角で撮ろう」もぜひご覧ください)

細かいテクニックは無数にありますが、年間3万枚の家族スナップ写真を撮ってきた私の経験に基づいて一番抑えておきたいベーシックなテクニックを解説しています。

ポイントは「あとで見返したり、家族で写真をみるときに楽しい思い出話ができる写真」ということです。 我が家ではこうやって撮った写真を家族で見返していつも楽しんでいます。

こちらは全5回のシリーズものとなっています。

  • その1:広角で撮ろう
  • その2:パンフォーカスで撮ろう
  • その3:複数の視点で撮ろう
  • その4:シャッターチャンスでは複数枚撮ろう
  • その5:常に持ち歩こう

それぞれの回に作例もつけているので、皆さんのイメージがより膨らんで楽しい写真ライフとなりますように。

「当たり前ですけど、このテクニックは使わないとダメ、とかそういうものじゃないです。『一つの参考例』として、自分の写真のイメージを膨らますために活用してくださいね!」

どんな写真を家族スナップで目指したいのか(再掲)

ちなみにテクニックに入る前に、すこし「どんな写真が家族で楽しめるのか」を考えてみましょう。

私は家族スナップ写真とは「構図がいい」とか「美しい」とかそういうことじゃないと思うんです。
「その写真をもとに家族で会話ができること」だとすると、その写真のポイントは私が考えるに2つです。

①忘れがちだけど確かにあった「日常」を写していること
②「日常」の情景を思い出すいろんな情報がたくさん写真に写っていること

こういった写真をみて「こんなことあったあった」「ねー」とか「この時○○だったんだよ!」「え、知らなかった」みたいな会話が弾むのがとても楽しいのです。

では、そんな写真を撮るテクニックの1つ「複数の視点で撮ろう」を具体的に解説していきます。

先に結論:複数の視点で撮るのはここがいい

先に結論です。

複数視点で撮ることは「家族みんなの視点」をトレースすることで、家族の思い出の幅が増えます。写真を通した家族との会話がどんどん増えるはずです。また子どもの視点で撮ることや、普段見ているのとは違う目線で撮ることは新たな発見を生み出し、写真を撮ることが更に楽しくなるでしょう

それではそれぞれの要素を説明していきます。

「日常」とは「家族にとっての日常」である

家族スナップ写真で重要なのは「日常」を切り取る、ということです。
今は何気ない日常として過ごしている日々がいつか大切な思い出になるということ。それを切り取っておいて、ふとした時に家族で振り返るのが楽しい。そんなイメージを持っていただけると嬉しいです。

ところでその「日常」とは誰にとっての「日常」でしょうか。

もちろん答えは「家族みんなにとっての日常」です。

一方であなたが撮る写真は「あなたの目線だけの写真」になっていないでしょうか?

テクニックその1「広角で撮ろう」では、「広角はぼんやりと見ている範囲を切り取れるので、親の目線を残しやすい」と書きました。ところで残すのは親の目線だけでいいのでしょうか?

あの時、子どもが見ていた目線。妻が見ていた目線、夫が見ていた目線。それらを意識して写真を撮ってみることは、家族の記憶としての写真を残していくことに繋がっていくのです。

写真を複数の目線で撮ることをテクニックとして推すのは、そういう理由があります。

複数の視点で撮った写真の特徴

新しい発見がある

自分以外の目線の写真が増えていくと、新しい発見をすることが増えます。「あー、子どもにはこんなふうに見えていたんだな」「こんな表情してたんだな」などなど。

見えている日常を切り取る、ということに加えて、見えていなかった光景が改めて客観的に見えるようになってくるとまたちょっと写真の楽しさが増して楽しくなってきます。

私はそういった写真の楽しみ方ができるようになってから、背伸びしたりかがんだりをして、より色んな視点で写真が撮れるように試行錯誤するようになりました。

子どもが楽しそうに話し出す

子どもの視点の写真を何枚か撮っていると、時々子どもの感性にクリーンヒットする写真が撮れるようです。

「この時、◯◯が『あと2つ食べる』って言ったんだよ」とか「この時アンパンマン書いたんだよ」とか。親が覚えていないことをいきなり楽しそうに話し出すことがあります。これは子どもの視点の写真を取るようになってから増えてきたように思います。もちろん普通の視点でもありますが、やはり子どもの視点の写真が子どもにはとっても馴染みやすいのかもしれません。

具体的なテクニック

高さは3段階を意識する

視点というのは高さと角度で構成されます。まず、高さは3段階を意識してみましょう。

①自分の目線②腰辺り③足首(地面すれすれ)の3段階です。

「①自分の目線」は普段の自分の高さなのでそこまで気にしなくていいでしょう。いつも通り撮りましょう。

「②腰辺り」は自分自身がしゃがんだときの目線です。また3~5歳時くらいの子どもの目線でもあります。ただ単純に「腰のあたり」とするよりは子どもの年齢に合わせて高さを選択してみるといいと思います。

「③足首(地面すれすれ)」は誰かの視線というよりは、今までとは違う観点でのものの見え方をする、ということです。家のなかであれば寝転がったときの光景かもしれませんが、屋外でそこまで寝転ぶことがあるとも思えません。そういう意味でこの高さは「お、こんな見え方をするのか」という新しい発見をする高さだと言えます。

以上3つをまずは意識してみましょう。私はこれを意識するまえは圧倒的に①のみでした。でも②で子どもの視点を③で今まで見えなかった景色が見えると写真がもっと楽しくなりました。

角度はそれぞれ2~3段階を意識する

高さだけでなく角度も意識してみましょう。角度は水平・上向き・見下ろしの3つがあります。高さとの組み合わせれば3×3通りになりますが、意識から抜けやすいパターンを紹介します。

①自分の目線×見下ろし

子どもがいる人にとってはこれは「親の目線」です。大事にしたい視点ですが、後頭部や前髪で顔が隠れてしまい、意外と子どもの顔が写りにくかったりします。それでもこの視点を大事にしてほしいのです。ぶっちゃけていえば写真は常に子どもの表情が写っていなくてもなんの問題もありません。私も写真を始めたときに勘違いしてしまっていましたが、表情が写ってなくても素敵な写真は撮れます!顔を写すことにとらわれずにぜひ「親の視点」を大事にしてください。

②腰辺り(子ども目線)×上向き

こちらは逆に「子どもの視点です」です。子どもの視点で抜けがちなのがこの上向きです。親を見上げる視点や、例えば動物園にいったときの動物を見上げる視線なんかもこれに含まれます。意外と子どもは世界を上向きに見ているのです。だって子どもにとってまだまだ色んな世界は大きいのですから。それを忘れないように腰のあたりで写真を撮る時には少し上向きもイメージしてみるといいかと思います。

③足首(地面すれすれ)×上向き

これは世界を見上げる写真です。一番普通ではない視線になるので、一番新たな発見があると思います。これを撮るときには、ファインダーを除くことはほぼありません。私はモニターすらあまり見ていないかもしれません。私の使っているGRⅢは28mmレンズですが、切り取れる範囲の体感が大体持てているので、かがんでカメラだけ地面に近づけて上向きを意識してシャッターを切っています。

そういう意味では自分のつけているレンズの範囲を体感で持てているといいのかもしれません。

「GRⅢの28mmレンズで写せる範囲を体感会得しよう」もぜひご覧ください。

作例

作例1

①自分の目線×見下ろしの写真として親の目線です。

腕を繋いでこうやって歩いていたことを思い出します。素直に自分の見えている光景に応じて撮った写真かなと思っています。

作例2

なんてことない写真ですが、②腰あたり(娘の視点)×水平です。

娘からすると隣にたっている妻との手のつなぎ方、高さの比較がこの高さだからこそなんとなくわかります。あえて縦構図ではなく、思い切って妻の上半身をいれない形になったのもよかったのかもしれません。

モザイクをかけてしまっていますが、なにかそれなりに決意を秘めた目をしていたのが印象的で、なんとなく私はこの写真が好きなのです。確か動物園にいく前にとった写真なんですけどね。

作例3

これは完全に娘の視点です。

親戚の家に赤ちゃんが生まれ、遊びに行きました。娘は「赤ちゃんにおもちゃをプレゼントする」と自分が使っていたラトルを持っていき、プレゼントしてあげました。ただ慣れない存在に恥ずかしさが勝ってしまい、私の膝に乗って抱っこしてもらいながら、赤ちゃんの方にラトルを差し出したのです。

その時にとった写真です。ですので、私の膝の上に娘がいて、ちょうどラトルを差し出すときに、目線を合わせるようにGRⅢで撮りました。あ、と思った瞬間に速写できるのはGRⅢの強いところ。娘の視線をそのまま切り取れたので、とても好きな写真です。

娘はこれを見るたびに「◯◯くんにプレゼントあげたんだよね」と嬉しそうにお話しています。

作例4

③足首(地面スレスレ)×上向きの写真です。

いつもの公園でいつもの人形を持っているだけなのですが、今までに見えなかった光景が見えて、妻のお気に入りの写真です。

小さな公園だと思っていたけど、もしかしたら娘にはとても大きな公園だったのかもしれない。空の高さが今まで私が見ていたものとは違います。「私にとっての日常」がまた違う顔をみせてくれた瞬間でした。

妻はこれを見るたびに「いつの間にか立派に立ってたのよね」と言います。2歳くらいのときの写真だと思いますが、言われてみればまだ立って歩けるようになってまだ1年くらいしか立っていないときですね。面白い感想だなぁといつも思って聞いています。

作例5

③足首(地面すれすれ)×水平の写真です。

子どもって一緒に歩いていると、本当にすぐにかがんでなにかものを拾いますよね。そして自分の世界に入ってなにか楽しそう。そんな子どもの表情を捉えられたと思っています。真剣になると少し口が半開きになっていくところとか、可愛いなぁと思って見ていました。かがんで撮ったり、カメラの位置を下げるだけで新しい表情が見えるのが面白いです。

まとめ

いかがだったでしょうか。

この記事の簡単なまとめです。

・複数の視点で撮ることは「家族の視点」を意識して「家族の写真」としてのみんなが楽しめる写真が増える。
・複数の視点を意識することで今で見えてなかった光景が見えて写真をより一層楽しめる。
・意識する高さは①自分の目線②腰(子どもの視点)③足首(地面すれすれ)の3つ。
・自分目線×見下ろし、腰視点×見上げる、足首視点×見上げるは抜けやすい角度なので意識してみると良い

複数の視点で撮れば、新しい光景を切り取ることができます。その新しさにあなた自身が写真をもっと楽しめますし、家族の楽しみ方ももっと増えると思います。

ぜひ楽しい写真ライフを家族で楽しんでください!

次回の第4弾は「複数回のシャッターを切ろう!」です!お楽しみに!

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